Something Borrowed, Something Bluegrass
2012年7月14日
ニューヨークで教師を務めるアンドリュー。すがすがしい9月のある朝、早起きした彼は、ガールフレンドのジョーダンがお気に入りの朝食を用意しました。美しい景色のブルックリンプロムナードを散歩した後、遠く見えるマンハッタンを背に、アンドリューはジョーダンにプロポーズしました。「800万人もの人が暮らす街で、僕は君に出会うことができた。」ジョーダンは笑顔でOKしてくれました。
彼女はあまりにも嬉しかったので、帰り道、大量のブライダル雑誌を早速買いこみました。絵に描いたようなニューヨークでのプロポーズでしたが、式は、サラブレッドで有名な自分たちの生まれ故郷、ケンタッキー州のジョージタウンに対する敬意の気持ちを込めて、素朴な南部風にしたいと心に決めていました。「結婚式をするなら、こういう風にしたいという理想が前からありました。」と彼女は話します。アンドリューももちろんそのアイデアに賛成し、結婚式の準備を手伝いました。「結婚式だけじゃなく、それまでのすべてを二人で経験したかったから。」と彼は言います。
数カ月の準備を経て迎えた当日、全ての準備は整いました。ところが、天気だけは味方をしてくれませんでした。思いもよらず夏の豪雨にみまわれ、挙式の会場を、緑に囲まれたジョージタウン大学の芝生から、大学構内の図書館へと変更せざるを得ません。悲しさのあまり、動揺を隠しきれないジョーダン。「少女の時のように芝生を駆け抜け、執務室にいる父の元に行きたかったのに。」花嫁の落胆ぶりが手に取るようにわかるアンドリューは、ブライズメイトの友人にジョーダンへメモを渡してくれるよう頼みます。「これまでにもたくさんの嵐を一緒に乗り越えてきたよね。もし今回も乗り越えることができたら、僕たちに怖いものはもう何もないよ。」彼のこの温かい言葉ほど、ジョーダンの心を救ったものはありません。すると、真っ黒な雲に覆われていた空に一筋の光が射しました。式が終わる頃には、晴れ渡った空にはまさに絶好のタイミングで虹がかかり、参列者は並木道を通ってパーティー会場へとむかったのです。
パーティー会場は、馬にちなんで演出したこの日にぴったりな、ミュージアムに隣接する牧場です。招待客名簿に代わり、祝いの言葉を書き込んでもらう木の馬蹄を用意する遊び心あふれるパーティー。バーでは、有名な競走馬マンノウォーの名が付けられたバーボンカクテルがふるまわれたほか、招待客は、お茶で甘くマリネしたチキン、チーズグリット、キャラメルケーキなど、花嫁の祖母のレシピを使った南部風の伝統料理を堪能しました。ケンタッキーのきらめく星空の下、笑って、踊って、家族も友人たちも楽しいひとときを過ごしました。ジョーダンとアンドリューは、自分たちが本当にやりたかったこの結婚式が素晴らしいものとなり、心からの喜びに浸りました。